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「ベストミックス」という虚構 [電力問題]

☆最近、原発推進派は、ベストミックスとかエネルギーの安定供給とか、脱原発と原発推進の不毛な二項対立を乗り越える、とか言い出しています。しかしこれらの議論はインチキです。
これらは彼らが原発をこれからも維持し推進したいがために考え出してきた脱原発派を懐柔しようとする策です。これらの懐柔策に決して騙されてはいけません。
これらが如何にインチキか、以下の『「ベストミックス」という虚構』という東京新聞記事を読むと分かります。

*推進派の言う「ベストミックス論」というのは、電源の最適な組み合わせに火力、水力、自然エネルギーのほかに原子力は絶対に不可欠という論。原子力を除いたベストミックスは全く考えていない。
*推進派の言う「エネルギーの安定供給」とは、自然エネルギー再生可能エネルギーは安定供給が出来ない欠点があるので、その欠点を埋めるには安定して電気を供給できる原子力が絶対に不可欠という論。火力でも安定供給できるのにそれには言及していない。
*推進派の言う「脱原発と原発推進の不毛な二項対立を乗り越える」とは、一方的な脱原発でもなく一方的な原発推進でもないということ。つまり一方では原発を止めるが、一方では原発を維持するってこと。しかしよく考えてみてください。不毛な二項対立をやめると言ってますが、実際には脱原発を先送りし原発は維持するってこと、数は減らしても絶対に止めないって言うこと、つまり推進と同じ、どこが違うんですか。。。。
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">「ベストミックス」という虚構


円居総一・日大教授に聞く

 政府が来春までに具体案をまとめるという「ベストミックス」(電源の最適な組み合わせ)。
脱原発と原発推進の「二項対立」を避ける現実路線だというが、実際には原発再稼働への道を開く案にすぎないのかもしれない。
肝心なのは、国民にとって“ベスト”な選択か否かだ。
元銀行マンで、政府の諮問委員なども務めた円居総一・日本大学教授(経済学)は数字からも疑問を呈している。 (鈴木泰彦)
 


「ミックスにはなっているけれど、とてもベストとはいえない」
 政府のベストミックス論を円居教授は一笑に付した。
「この言葉を持ち出したのは、何としても原発を維持したいからだろう原子力が前提で、それ以外はどうするという順で考えたのでは」

 ベストミックス論とは「いずれは再生可能エネルギーにシフトしていかなくてはならないが、すぐに、とはいかない。それまで原子力を基本電源に火力、水力を組み合わせていくのが現実的」という考え方のことだ。
 「安全」「安価」で「クリーン」なエネルギー-。
原子力発電はこれまで美辞麗句をまとってきた。
少なくとも、その一つの「安全」が、実は極めて脆弱(ぜいじゃく)なものだったことは、今回の福島原発事故で明らかになった。
 残る「安価」「クリーン」についても、円居教授は「液化天然ガス(LNG)が主流となっている火力発電と比べて、コストの優位性はほとんどなく、地球環境への貢献の面でも、その意義は薄い」と言い切る。
 では、詳しく検証してみよう。
まずは「安価」とされる点はどうか。

 電気事業連合会は二〇〇四年一月、原子力と火力の発電コストの比較について、資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会小委員会に資料提出している。
それによると、有価証券報告書を基にした〇〇年度から〇二年度の平均単価は原子力の八・三円/キロワット時に対し、火力は十円/キロワット時。火力が割高になっている。
 円居教授は「ここで注意しなければならないのは、稼働率が原子力の78%に対し、火力は41%とはるかに低い点。稼働率が低ければ当然、コストが上昇する」と話す。
 この資料には、火力の稼働率を80%に換算した場合の値も付記されていて、これだと火力は七・三円/キロワット時となり、優位性は逆転する。
 「原子力は発電量を調整できず、需給に関係なく、稼働率を高く保っておかなければならない。電力会社の形態が地域独占でなければ、そんなムダは通用しない。地元対策費などの補助金を加えたら、その発電コストは際だって高くなる
 東京電力は停止した原発の代替として火力に切り替えた結果、年間七千億円の負担増になったとしている。
しかし、円居教授はここにも数字のまやかしがあるという。
 「東電の負担増の話は火力のコスト高を印象づけたいのだろうが、思い出してほしい。これは原発を止めたことによって生じた出費であり、休止原発分のコストが隠れている。単純に火力に置き換えた数字ではない
 
「クリーン」はどうだろうか。
ここで火力と比べて必ず引き合いに出されるのが、二酸化炭素(CO2)排出による地球温暖化への影響だ。
 円居教授は「この点は水力や再生可能エネルギー同様、原子力は優れている」と認める。
しかし、こう付け加える。
 「原子力は管理が困難で、事故がいったん起きれば甚大な被害を環境に与える。温室効果ガス抑制というメリットは、その危険性に見合うほどのものではない
 
同教授は安全性と経済性を両立させうるエネルギーの条件には、次の四点を挙げる。
 
(1)発電単価、採算性が優れていること
 
(2)システムとしての経済性が優れていること
 
(3)十分な代替供給能力を持つこと
 
(4)少なくとも、中期的に資源を安定確保できる見込みがあること
 
この条件に照らすと、太陽光や風力などの新エネルギーは、(4)以外は全部失格。
火力はかつて(4)に弱点があったが、LNGの採掘技術が近年、急激に進歩し、潮目が変わりつつあるという。 
「いまやLNGの採掘可能な年数は、原油やウランを上回るといわれるようになった。原子力と違い、火力は発電設備の小型化、分散化も可能だ。電源の地域管理化が進めば、送電ロスも節約できる。将来の発送電分離にもつながる
 もちろん、火力一本やりではなく、その弱点を補う再生可能エネルギーとのベストミックスを考えるべきだと説く。
 「再生可能エネルギー最大の欠点は安定供給ができない点。火力と再生可能エネルギーの組み合わせこそがベスト。いずれにせよ、原子力は選択肢には入らない
 さらに円居教授は、原子力を選択肢に入れる誤りをこう指摘した。
 「原発は使っている間だけでなく、止めた後も管理し続けなければならない。そのコストはどれだけになるのか。原子力をベースにする根拠があるなら、政府は合理的な説明をするべきだ


◆エネルギー・環境会議
 「ベストミックス」は約三十年前の国会答弁で資源エネルギー庁長官が言及するなど、古くから使われてきた用語で、原子力の必要性を語る方向で多用されてきた。
 野田佳彦首相は二日の就任記者会見で、原子力行政について「国民の不安を取り除く形で、エネルギーのベストミックスを構築したい」と、政策の見直しを強調した。
 古川元久国家戦略相も本紙などとのインタビューで「いくつかの選択肢を提案し、一年後をめどに総合的なエネルギー戦略をまとめたい」と意欲を示している。
 政府は今後、原発や化石燃料、再生可能エネルギーなどの組み合わせ方の試案を複数つくり、最善策を探る方針だ。

 政府内にあるエネルギー政策を議論する主な舞台は三つ。このうち、菅前内閣時代にできた関係閣僚による「エネルギー・環境会議」がエネルギー政策の大枠を議論する場になる見込みだ。
 同会議が七月にまとめた「中間的整理」によれば、同会議が総合資源エネルギー調査会(総合エネ調・経済産業相の諮問会議)などと議論を重ねた上で、年内にベストミックスに関する「基本的方針」をとりまとめる。
 経産省と総合エネ調はこの「基本方針」を土台に、来夏をめどに具体策となる「エネルギー基本計画」をつくる。内閣府の原子力委員会もエネルギー・環境会議と連絡を取りつつ、「原子力政策大綱」の改定作業を進めることになりそうだ。 (篠ケ瀬祐司)

<デスクメモ> 野田首相は原発政策をめぐり「二項対立は不毛」という。日本人は「丸く収める」のが好きだ。が、1+1は2。3という意見があっても、真ん中で、とはいかない。原発も同類である。「潜在的核(兵器)保有」論に固執する人もいる。百歩譲っても、再稼働は無意味だ。プルトニウムは余っている。(牧)

◆えんきょ・そういち ロンドン大学政治経済学院博士課程修了。東京銀行、東京三菱銀行主席エコノミストなどを経て、1997年から日本大学教授。通産省の諮問委員会委員などを歴任。近著に「原発に頼らなくても日本は成長できる」(ダイヤモンド社)がある。63歳。




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1969kana

さすが、原発を動かしてうまい汁を吸い続けるためには、ひどいやらせでも何でもやる(時には農民にまで化ける)人たちのやることですね。
自然エネルギーも、わざと太陽とか風力とか出してきませんしね(天候に左右されるものばかり)。
地熱に言及しないのは、恣意的過ぎますね。
by 1969kana (2011-10-06 01:24) 

白・嶋・春・富

1969kana さん<推進派は、わざと太陽とか風力とかしか出してこないで、安定供給できない→だから原子力というんですよね。地熱は安定してますしね、まやかしに騙されてはいけませんね。
by 白・嶋・春・富 (2011-10-06 14:17) 

あかね

火力発電に反対な連中が、わざと火力発電事故を勃発させてるという
情報を耳にしました。
それで火力発電が危険だとか言わせてるようですが、新原発誘致の
ために政府も必死すぎるというか、呆れ果てますよ。

そんなに事故だらけだったら、第二次世界大戦中はどうしてたんでしょうね?
甚だ疑問ですよ(笑

by あかね (2011-10-06 16:50) 

白・嶋・春・富

あかね さん<今年の夏はやたらと火力発電所が故障しましたよね。あれもほとんどやらせだったんでしょうね。
電力が足りないというと、すぐに原発の増設という話に結びつけるのはおかしいですよね。火力の新増設でもいいわけだし。。

by 白・嶋・春・富 (2011-10-07 12:14) 

PATA

推進派に騙されてはいけませんね。
by PATA (2011-10-07 20:41) 

白・嶋・春・富

PATA さん<脱原発を言う人の中に推進派が隠れてますからね。気をつけなくては。
by 白・嶋・春・富 (2011-10-08 13:04) 

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