SSブログ

原発事故と健康被害を考える・西尾正道・北海道がんセンター院長講演/福島第二も一部電源喪失 [原発]

☆原発事故と健康被害を考える。2011・7・30
西尾正道・北海道がんセンター院長講演。



Video streaming by Ustream


西尾正道氏の講演要旨


「北海道がんセンターの西尾です。放射線科を選んだのは深い訳は無いんです。外科等を選ぶと毎日忙しくて終わりそうな人生。誰も選んでいない科を。
私は主にガンの治療をやって来たが、国立病院なのでいい機械を買ってもらえなかった。治療する中で放射線を浴び、日本で一番浴びていると言われた事もある。
放射線ホルミシスというものがあるが、私64歳には見えませんよね?
少量浴びれば健康にいいと真面目に主張している人もいるが、これは半分冗談みたいなもの。
泊が事故になったらどうなるか。
粒子状になって飛散する。
60〜80kmが一番飛散する。
花粉症と同じです。
木の下等にいればあまり花粉の影響を受ける事は無い。
今回の事故が起こった原因は身内でやっていたこと。
学者も、報道も政府も一緒にやっている。
身内でない人達、京大の先生方なんかは関わらせてもらえない。
泊もお金を300億くらい貰っているので高橋知事も八方美人でいる分けにもいかない。
こういう日本の原子力行政の元で事故が起きた。
放射線の核種、どういう放射線にあたったかによって違う、どの臓器にあたったかによって違う、それらを見るのが実効線量。
多く問題になるのはヨウ素とセシウム。セシウムは半減期は8日。二ヶ月半位でゼロになってしまうので、今更検出しようとするのは無理な話。
セシウム137は半減期30年程。まだ残っている。
実際には今回の大雨などで、環境中のセシウムはもっと早く半減して行く。
これを環境半減期という。ただ、これは無くなった訳ではなくどこかへ言ったという事。生態半減期は110日程。
コバルト60が出たという事は、被覆管が溶けているということ。専門家ならコバルト60が検出されればメルトダウンしていると誰でも分かる。
放射性廃棄物の処理が問題となるがアメリカはイラクでの劣化ウラン弾に利用している。
ウランの半減期は45億年であり、これはとんでもないこと。
放射線の被曝による人体の影響には確定的影響、しきい値があるもの。
これと確率的影響、あとで影響が出る可能性があるものがある。
この被曝の限度は社会的なコンセンサスとして設定されている
放射線の感受性が高いのは頻繁に細胞分裂をする細胞。造血幹細胞、精子、腸管上膜など。
長崎などで被爆した人が水を欲しがったのは腸管上膜がやられたから。皮膚も細胞分裂が盛ん。
放射線業務従事者の被爆線量限度は5年で100mSv。一年に50mSvを超えてはならない。
これは年平均では20mSvとなり、福島の基準と同じ。これが基準として採用されている。
政府は緊急作業が必要だと、作業員の線量限度を250mSvと引き上げたが、こんなのには根拠は無い。いつも後だしじゃんけんしてるんだから勝つに決まってますよ。
しかし放射性物質が体の中に入ったら、そこに留まり影響を与え続ける。
違う性質なのだが、今の基準では外部被曝も内部被曝も一緒にしちゃいましょ、としている。線量が一緒でも全然違う。
一升瓶を一晩で飲むか、一ヶ月で飲むかでは全然違う。
後は局所的に浴びるか全身で浴びるか。肺がんの治療では80Gyほどかける事もある。
内部被曝か外部被曝か。全身か局所かで全然違う。
防護のテクニックとして、距離、時間、遮蔽という3つがある。ヘリの下に遮蔽版を引いて放水したが、ヘリの周囲の空間に放射性物質があるんだからあんなことをしてもどうしようもない。
日本は先進国の中でガン治療などに対する放射線の使い方が一番下手。
これではまずいと思い、自分で原稿を書いたりしている。他の人にも原稿を寄せて頂いているので、これを買ってください。
風向きで放射性物質の影響は変わる。浪江町などは既に事故から数日間でかなり被爆しているのに、その後から年20mSvまで被曝を許容するとなれば、実際には20mSvを超えてしまう。
レントゲンのフィルムを置いておいたら感光した地域も15日にはあった。
普通は置いておいたフィルムが感光することはない。風向きが陸側だった15日にはかなりの放射性物質が飛散した。
放射性物質はカリフォルニアではプルトニウム、ハワイではウランなどの検出量が急に多くなった。これは放射性物質が偏西風にのって移動した。
東京の人ももちろん被爆しています。
ウクライナの汚染地図を日本に当てはめると距離的には東京も汚染地域に入る。
この程度の距離飛散する事は分かっているのに、20km圏外は屋内退避なんて対応はおかしい。
ICRPの基準では放射線管理区域は0.6μSV。現在の福島の年20mSvでは3.8μSv。
この管理区域では未成年が働く事も許可されないし、飲食も許されていない。
私達がガラスバッジを福島で2万個配ろうと思ったら、厚労省の審議官がとめた。
一体何を考えているんだ、と。今では配れるようにもなって来たみたいですが。
ガラスバッジは一ヶ月ごとに我々医療従事者では情報がくる。
私はトータルでは500mSv以上浴びている。このように浴びても一過性で突き抜けるだけなのでそれほど問題ないのかもしれません。
ICRPや米国科学アカデミーは放射性の人体への影響として直線モデルを採用している。これに対して異議を唱えたのがECRRです。内部被曝が考えられていない、と。
内部被曝では同じ細胞が放射線を浴び続ける。このような被曝の仕方を、外部被曝と一緒に扱うのはおかしいということをECRRは主張した。
1946年に設立されたNCRPでは内部被曝を検討する委員会があったのだが、なくなった。
これは内部被曝を検討し、報告書が国際的に発表されては原発などは推進する事ができなくなるから。
WBCなどではα線を測る事ができない。
ECRRのクリスバスビー氏は今後50年間で福島原発の100km圏内では20万人超のがん患者がでる、と。ICRPのモデルでは6100人程度。こんなに違う訳です。
私のやって来た治療は口腔内のがんを放射性物質で治療して来た。
いわば内部被曝で治療しているんです。ずっとその場に留まる事でがんにも効果がある。逆に内部被曝はそれほど影響がある
最近でているのはストロンチウム。これはカルシウムと同じ2価の元素なので骨に取り込まれる。そしてβ線を出し続けます。放医研は内部被曝のデータがあるのに出さなかった。
東電作業員の被曝データを見ても、内部被曝の方がかなり多い。
これはずっと内部に留まっているから。このどれだけ留まって影響を与えるかを評価するのに預託線量という考え方がある。
過去の核実験の放射性物質が飛散し、お年寄りとかでは結構放射性物質が体内から検出される。若い人子供から検出される事はありません。
僕は南相馬市立病院に言ったら、アドバイザーのような感じになってしまったが、やはり住民の方々は内部被爆している。今札幌がんセンターではWBCの検査をしているが、測らなくてもいい。
今測ってもヨウ素はもうでない。これで浴びた線量の9割は分からない。
セシウムの実効半減期は100日ちょっとなのですでに4割ちょっとしかない。すでに計れないので、受ける必要はあまりない。
低線量被曝の影響としてはバイスタンダー効果といって、実際に放射線を浴びた細胞の周辺の細胞にも影響が及んでいるという報告もある。
ベラルーシでのデータ等今まで語られなかったものが出て来ている。ベラルーシでは汚染を隠していたので、セシウムを取り込んで乳がんが増えた。奇形も増えた。
劣化ウラン弾の影響も明らかに。
2011年のジャネットシェルマンによる報告ではチェルノブイリの影響での死者は98万人越。IAEAの報告では4000人とされている。
この調査は英語以外の現地文献も調べた結果。
さらにがんなど以外にも奇形や知能障害などの影響が明らかになった。
ベラルーシでは事故前には高卒が8割ほどだったが、今では2割ほど。知能障害があり卒業できない人が増えている。
日本は食品基準値を事故後にあげた。この基準だと内部被曝だけで17mSv越の被曝を許容するもの。これもあとだしじゃんけん。内部被曝も明らかではないし、影響はまだ分からない事だらけ。
ドイツが日本に勧告してくれた値は成人が8bq/kg、子供が4bq/kgの食品まで。
日本ではこの基準を守ろうと思ったら、日本ではほとんど食べるものなくなってしまいますが。
今後の対策としては、ひどい汚染地域の人は逃げるしか無い。
3号機なんて線量が高くて作業員が近づけないはずだし、汚染水も安定していない。
福島県はがん検診をしていないので以前のデータ無い。
これから原発を無くす動きはいいと思うがソフトランディングしなければ。
これから人も減って行ったり、歳とったら電気も使わなくなるでしょう。こういうことも含めて考えないといけない。
これから途上国では原発がどんどんできる。日本程の技術は無いので事故は今後も起こる。もう、放射線との戦いの時代ですよ。この時代だからこそきちんとした内部被曝も含めたデータを取る必要。
この健康管理の先頭に立つのは日本であり、そのためにも医療体制を確立しなければならない。
こんなことを述べながら終わりたいと思います。」
***********************************************************************************************************************福島第二も一部電源喪失 2011年8月11日 朝刊

 東日本大震災発生後の津波で、福島第二原発の原子炉を冷やす機能の一部が三日間失われていたことが十日、東京電力が公表した資料などで分かった。
核燃料の過熱で原子炉格納容器が損傷する恐れもあり、増田尚宏所長は国の事故調査・検証委員会の調査に「人海戦術でかろうじて対応できた。人手が足りなければ無理だった。危機一髪だった」と説明。福島第二も危機的な状況に陥っていたことが浮かんだ。 
東電によると、三月十一日の震災直後、敷地の海側にあった海水熱交換建屋が津波で浸水。1、2、4号機で原子炉を冷やす海水をくみ上げるポンプが使えなくなった。配電盤も水に漬かり、電力供給が停止。原子炉が冷やせなくなった。
 東電はポンプのモーターを交換するとともに総延長約九キロの仮設電気ケーブルを引いた。発電所内だけでは資材が足りず柏崎刈羽原発(新潟県)からトラックで陸送したり自衛隊のヘリコプターで運んだりした。夜間にヘリが着陸する時は社員の車二十台のヘッドライトを使って誘導した。

 この間に1、2、4号機の原子炉格納容器の温度が上昇。圧力が高まって損傷する恐れが出たため、3号機も含めた四基で容器内の蒸気を放出して圧力を下げる「ベント」を準備。被災から三日後の十四日夕までに、別の建屋から電源を供給することに成功。各原子炉で順次、冷却設備が復旧したため、ベントを行わずに済んだ。

 国の事故調関係者によると、増田所長はヒアリングで、トラックで運んだ仮設ケーブルが重すぎて降ろせず、新たに重機を手配するなどの混乱があったと説明。「金曜日で数千人の作業員がいた。少しずれて土曜日や夜中に起きていたら、とても収束できなかった」と話している。
***********************************************************************************************************************★今頃になって事実発覚ですか。。。
この事実を見たら、地震が起こると日本は国土が狭いので複数箇所で複数事故が同時発生する恐れが高いって事がよく分かります。女川原発だって危なかったわけだし・・・
日本海側で大地震大津波が起これば、福井、新潟の複数原発が同時に事故を起こし危機になる恐れが・・・恐ろしい。。。[がく~(落胆した顔)]

nice!(6)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 6

コメント 2

1969kana

最初のころは、かなり第2原発もやばい雰囲気だったのを覚えてます。
超幸運にも何とかなったというだけでしょうね。
こちら玄海原発でも、チョコチョコ事故があり、去年の12月に結構やばかったようです。

しかし、この状況でもノー天気な人が多いのにはホントあきれています。
こんなんでは、日本は滅びるべくして滅びるのかもしれませんね。
by 1969kana (2011-08-13 01:32) 

白・嶋・春・富

1969kana さん<アメリカやフランスのような地震のない国ならよいのかもしれませんが、地震大国の日本では原発がいかに危険かということですよね。
原発を続けるって言う人たちに日本の命運を、超幸運なんていう運任せでいいのかって問いたいです。
by 白・嶋・春・富 (2011-08-13 15:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。