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卒・原発でエネルギーと暮らしをどうしたらよいの? [高野雅夫]

・名古屋大学大学院環境学研究科准教授・高野雅夫先生の講演。


*高野雅夫先生プロフィール
名古屋大学大学院環境学研究科准教授
持続性学・地球科学。
最近は宮本常一と星野道夫にはまっている。



*卒・原発でエネルギーと暮らしをどうしたらよいの?

原発を止めると、どうなるのでしょうか?
エネルギーシフトと言われますが、どこにシフトしていけばよいのでしょうか?
自然エネルギーってどういうもの?
私たちひとりひとりができることは何でしょうか?
どういうふうに考え方を切り替えればよいのでしょうか?
いっぱいの????について考えるために、
里山の中で小さな自然エネルギーを利用する
実践を通して気がついたことをお伝えします。

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<腑に落ちるエネルギー問題>

高野雅夫(名古屋大学大学院環境学研究科准教授)



1.原子力を卒業しよう!

*「原子力が止まれば計画停電」は世論操作

+火力をもっと動かせば原発はすぐに止められる

+「エネルギーシフト」=「脱原発は自然エネルギーで」の混乱

+二段階で考えよう:原子力→天然ガス→自然エネルギー



*フクシマで何がおこっているか?

+日本史上最大最悪の環境汚染事件

+「因果関係は証明できない」ので「責任はない」?:水俣の轍をふむのか

+チェルノブイリに学ぶ

+今この瞬間に子どもたちが被曝している



*なぜ地震国に原発なの?

+環太平洋造山帯に原発の無理・廃棄物処理のめどのないままスタートの無理

+原発導入の最大の動機は「日本の共産化を防ぐ」こと

+福島第一原発に津波対策なし



*原子力は「夢のエネルギー」か?

+軽水炉で天然ウランを燃やしているだけならすぐに枯渇

+プルトニウムをとりだして高速増殖炉ではじめて「夢のエネルギー」に

+高速増殖炉は失敗した

+プルトニウム在庫問題:日本核武装?



*原子力ってなんだったの?

+大規模集中の極み:電力会社の経営にはメリット大

+日常的な外部への放射性物質放出と日常的な作業員の被曝

+事故の際の致命的な被害

+消費者に何もメリットない:続けます?→卒業しよう!



2.自然エネルギーという生き方

*農業用水路のかわいい水車

+らせん水車:百年前の技術

+40Wで過ごす静かな夜



*自然エネルギー100%の公共施設

+里山再生の拠点「すげの里」

+地中熱利用でエアコンなし

+ウッドボイラーで石油より安く・地域の生業をつくりだす

+ミニミニ水車で獣害対策

+家畜のうんちはお宝:バイオガス

+太陽熱・地中熱・小水力・バイオマス・太陽光・風力の順で考える



*自然とは?里山で考える

+里山=人間がその一部である生態系

+古老に聞く相互扶助の暮らし

+厳しく貧しい暮らしからエコでおしゃれな暮らしへ

+自分でつくる喜び:食もエネルギーも

+自然(じねん)=自ずから然るべきようになること(内山節氏)

+都市から夢と希望を抱いてやってくるワカモノたち



*千年持続可能なエネルギーシフトとは

+都市は天然ガス社会へ

+農山村は自然エネルギー社会へ

+都市へのシフトから農山村へのシフトへ

+都市の魅力を再構築すること

+誰もが自然(じねん)に生きられる社会へ








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*ガン以外の健康被害も深刻*低線量(100mSv以下)の被曝による健康被害については、まったく影響がないとする立場から、相当な影響があるという立場まであって論争が続いている。
国際的な基準となっているICRPの考え方は、横軸に被曝線量をとり、縦軸にガンの発生率をとると、直線になるというものである。
この根拠になっているのは広島、長崎の被爆者の疫学調査のデータであり、被曝線量としてはとても高い領域でのデータを使って、低線量の領域まで伸ばしたものなので、それが本当に有効かどうか検証されているわけではない。
というか、検証しようとしたら、人体実験をしなければならないので(しかも10万人というオーダーで)それはありえない。この事情が議論を複雑にしている。

 たいへん残念ながら低線量被曝の事例がチェルノブイリ原発事故による被害である。
チェルノブイリ周辺では土壌が放射性物質で汚染されており、その中での生活を強いられている住民が100万人の単位でいる。
その土壌で育った農作物を食べることで人々の体内被曝が続いているのである。しかしながら事故から25年が経過した現在でも、その健康被害について、体系的な疫学調査は進んでいないようである。
 ただ、相当な健康被害が発生していることは確実で、しかも、それはガンだけではないというのが注目すべきところである。
綿貫礼子・吉田由布子「放射能汚染が未来の世代に及ぼす影響」(『現代化学』2011年5月p35-39)はその実態についてロシア語以外で解説している希有な文献である。

 これによれば、まず「ベルラーシにおける診断年別甲状腺がん発生率の年次推移」をみると、今のところ事故発生から15年たった2001年に15~19歳の甲状腺がん発生率が最大になりその値は10万人あたり約10人である。
 一方、ガン以外の健康被害も深刻である。
「呼吸器系、神経系、消化器官、皮膚などの疾患、感染症、血液・造血器官の病気などが汚染地域で多発」している。
「子どもたちの全般健康状態」については、「慢性的な病気のある子どもの数は、8.4%(1986~1987)から55.5%(2000年)、77.8%(2004年)へと増加し、障害児の数も増加している」。
 さらに目を引くのが思春期に被曝することの影響である。「思春期に被ばくした女性の65%は出産が病的なものであった(早産、羊水過多、長時間無羊水状態、逆子、子宮内低酸素状態、帝王切開など)」。
「思春期に被曝した両親から生まれた子どもは多様な病理の総合的負荷が非常に高く、50%以上の子どもが三つかそれ以上の病気にかかっている」。

 これまでは低線量における健康被害は白血病を含めたガンしか考えられていなかった。
それが、慢性的な体調不良や妊娠や出産の障害、新生児の障害が相当な高率で現れることは深刻といわざるを得ない。
今、この瞬間にもフクシマでは子どもたちが放射線にさらされている。私は思春期の被曝の影響が深刻というのは知らなかったので、中高校生の被曝も心配である。

 チェルノブイリでは体系的な疫学的研究が進行中のようであるが、フクシマには間に合わない。このままでは、フクシマが「人体実験」場とされてしまう。一刻も早く、子どもたちの被曝線量測定と、必要な避難や疎開が行われることを願わずにはいられない。
また食べ物の放射能基準が現在の基準では甘すぎると思う。体内被曝の心配がないレベルまで下げるべきである。私もフクシマの子どもたちを放射能から守るためにできることを考えて行動したい。

*だいずせんせいの持続性学入門ブログ http://blog.goo.ng.jp/daizusensei/より

*放射線被曝というとガンのことばかり言われてますが、他の病気のことも考えるべきですね。ほとんど触れられていないけど・・・ 因果関係がよく分からなくとも、少なくとも相関関係が疑われる時は予防原則に立つ(風評被害と対立するんだろうけど)べきでしょう。。。
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